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「振動障害の治療指針」について
 【昭和61年10月9日 基発第585号】
○「振動障害の治療指針」について

 振動障害の治療については、昭和51年6月28日付け基発第494号「振動障害の治療について」(以下「494号通達」という。)により通達し、同通達別添の「振動障害の治療」を振動障害の治療に携わる診療担当医師等に対し、広くその周知を図ってきたところである。
 その後、昭和56年1O月に「振動障害の治療等に関する専門家会議」を設置し、「振動障害の治療」について見直し、検討を行ってきたが、今般、その結論が得られたところである。
 そこで、同専門家会議の報告に基づき、別添「振動障害の治療指針」(以下「治療指針」という。)を作成したので、下記に留意のうえ、振動障害の治療に携わる診療担当医師をはじめとして、関係労使、労災病院、労災保険指定医療機関等に対し、これが周知を図られたい。
 上記に伴い、494号通達は、これを廃止する。
 なお、周知に必要な部数は本省において印刷し別途送付する。
 



1.  改正の趣旨
 昭和51年6月に作成した「振動障害の治療」においては、当時、未だ医学的知見の集積がなされていなかったため、振動障害の病像等について未解明な点が少なからず認められた。
 今回の治療指針は、その後における振動障害の治療実績、医学的情報等の集積を踏まえ作成されたものであり、振動障害の治療に携わる診療担当医師等に対して、その治療に関する最新の医学的知見を示すものである。これによって、振動障害療養者に対してより適切な治療が確保されることを目的としたものである。


2.  主な改正点
(1)  振動障害の病像
 振動障害は、末梢循環障害、末梢神経障害及び運動器(骨・関節系)障害(以下「3障害」という。)に限られ、これらの3障害以外のものは振動障害に含まれないことが明らかにされたこと。
(2)  症度区分
 振動障害を3障害ごとに分類し、末梢循環障害と末梢神経障害については「自覚症状・身体所見」及び「検査成績」でそれぞれの症度を区分し、運動器(骨・関節系)障害については病態で区分することにより、各障害の種類ごとの治療効果及び症状経過を正確に把握し、治療方針をたてるための目安としての区分が示されたこと。
(3)  治療
イ.  振動障害の治療に携わる診療担当医師は、本治療指針に基づき、振動障害療養者の症状を3障害の障害ごとに分類し、各障害の「自覚症状・身体所見」及び「検査成績」並びに「手術的療法の要否」について治療経過を追って観察・分析することによって、効果的かつ適切な治療を行うことがてきるものであることが示されたこと。
ロ.  振動障害の治療については、早期に薬物療法、理学療法等を合わせて集中的に行うことが治療効果の観点から望ましいこと及び就労と治療効果との関係については、一般的に、入院期間を除き振動業務以外の一般的な労働は可能であり、積極的な就労を図るべきであることが示されたこと。
ハ.  具体的な治療法については、主として臨床経験則から評価を行った結果、現在、効果があるとされている治療法が示され、個々の患者の症状に応じ、原則としてこの中から取捨選択して適用されるべきであることが示されたこと。
ニ.  初期集中的治療後の通院治療の回数の目安が示されたこと。
ホ.  振動障害の治療効果については、各障害ごとに治療効果が期待できると考えられる治療期間の目安が示されたこと。
→ 別添 「振動障害の治療指針」

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